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小4算数の壁の正体|なぜ多くの子がつまずくのか

「小4になると算数が急に難しくなる」

教育現場や保護者の間では、よく「小4算数の壁」という言葉が使われます。

実際、それまで算数が得意だった子でも、小4になった途端にテストの点数が下がったり、文章題で手が止まったりすることがあります。

しかし、この「小4算数の壁」には少し厄介な特徴があります。それは、大人には見えにくい壁だということです。

例えば、中学や高校の数学で出てくるような難しい問題であれば、「これは難しい」と誰でも理解できます。複雑な円の面積の問題や、割合を組み合わせた文章題などは、大人でもすぐには解けないことがあります。そうした問題であれば、保護者も「これは難しいから対策が必要だ」と気づくことができます。

ところが、小4算数の場合は事情が少し違います。問題そのものはそれほど難しそうに見えません。大人から見ると、計算もシンプルで、少し考えれば解けてしまう問題がほとんどです。そのため、

「どうしてこんな問題が解けないのだろう」

と感じてしまうことがあります。

しかし実際には、小4算数には子どもにとって大きな変化が隠れています。それは、算数がそれまでの「感覚で解ける算数」から、「関係を整理して考える算数」へと変わることです。この変化は、小4の頃の思考の発達段階と重なるため、多くの子どもが戸惑うことになります。

そして、この変化こそが「小4算数の壁」と呼ばれる現象の正体です。

この記事では、小4算数の壁とは本当に存在するのかを整理しながら、その原因を具体的な問題の比較を通して解説していきます。小3の算数と小4の算数がどのように変わるのかを見ていくと、「なぜ子どもがつまずくのか」が驚くほどはっきり見えてきます。

小4算数の壁は、大人には見えにくい壁です。しかし、その存在に気づくだけでも、子どもの算数をサポートするうえで大きな一歩になります。この記事を読み終えるころには、「小4算数の壁」の正体が見えてくるはずです。

目次

第1章 小4算数の壁を生む5つの変化

では、なぜ小4になると算数が急に難しく感じられるのでしょうか。

先ほど述べたように、小4算数の壁は「突然難しい単元が出てくる」ことだけが原因ではありません。むしろ問題は、算数の考え方そのものが少しずつ変わっていくことにあります。

低学年までの算数は、比較的シンプルな問題が中心です。問題文に出てくる数字をそのまま使って計算すれば答えが出るものが多く、子どもにとっても理解しやすい内容でした。

しかし小4になると、同じ算数でも少しずつ様子が変わってきます。問題の条件を整理する必要が出てきたり、図形を数値として考えたり、小数や分数といった抽象的な数を扱ったりするようになります。つまり、これまでのように感覚だけで解ける問題が減り、関係を整理して考える算数が増えてくるのです。

ただし、この変化は教科書を読んだだけではなかなか実感できません。「抽象化」や「思考の複雑化」といった言葉で説明されることも多いのですが、それだけではなぜ難しくなるのかが少し分かりにくいでしょう。

そこでここからは、小3算数と小4算数の似たタイプの問題を比較しながら、どのような変化が起きているのかを見ていきます。実際に問題を並べてみると、「小4算数の壁」と呼ばれる理由がかなりはっきり見えてきます。

原因① 数字をそのまま計算できなくなる

小3レベル

長方形の形をした花壇があります。たての長さは60cmで、横の長さは縦の長さの3倍です。横の長さは何cmでしょう。

小4レベル

ももこさんの拾ったどんぐりの数は、あと4こで30こになります。
ななこさんは、ももこさんの2倍の数のどんぐりを拾いました。
ななこさんの拾ったどんぐりの数はいくつでしょう。

原因② 数量関係を考える問題が増える

小3レベル

長方形の形をした花壇があります。たての長さは60cmで、横の長さは縦の長さの3倍です。横の長さは何cmでしょう。

小4レベル

兄と弟でえんぴつ16本を分けます。
兄の分を弟の分より、10本多くするには、それぞれ何本ずつ分かればよいでしょう。

原因③ 図形が「形」から「数値」に変わる

小3レベル

2つの辺の長さが同じ三角形を、(     )といいます。

小4レベル

まわりの長さが34cmで、たてが7cmの長方形の面積を求めましょう。

原因④ 数が抽象化する(小数・分数・概数)

小3レベル

1本150円の鉛筆を5本買います。何円払いますか。

小4レベル

1m重さが1.24kgの鉄の棒があります。
この鉄の棒5mでは、何kgになるでしょう。

原因⑤ 問題を読み解く算数になる

小3レベル

ある数を3でわると、商が2になります。ある数はいくつですか。

小4レベル

ある数を12でわり、その商から20をひき、その差に3をかけると6になります。
ある数はいくつですか。

第2章 なぜ小4で差がつくのか

ここまで見てきたように、小4算数では突然難しい単元が出てくるわけではありません。

しかし、算数の考え方そのものが少しずつ変化していきます。この変化に気づいているかどうかで、子どもが算数を理解できるかどうかが大きく変わってきます。

小4で差がつき始める理由は、計算の難しさではなく、算数の考え方の変化にあるのです。

感覚で解けていた算数から変わる

低学年までの算数は、比較的「感覚」で解ける問題が多くありました。例えば、りんごが3個あって2個増えれば5個になるというように、日常生活の経験と結びついた問題が中心です。問題文に出てくる数字をそのまま計算すれば答えにたどり着くことが多く、子どもも直感的に理解することができます。

しかし小4になると、同じ算数でも状況が少し変わります。問題文の中に直接計算に使う数字が出てこない場合や、条件を整理しないと式が作れない問題が増えてきます。そのため、これまでのように感覚だけで答えを出すことが難しくなっていきます。

問題文を整理する力が求められる

小4算数では、文章題の比重が少しずつ高くなります。ここで求められるのは、計算力そのものよりも、問題文の内容を整理する力です。

例えば、「ある数を12でわり、その商から20をひき、その差に3をかけると6になります」という問題では、文章を読んだだけではすぐに計算を始めることができません。まずは、問題の内容を整理する必要があります。

ある数を12でわる → その結果から20をひく → さらに3をかける

このように、文章の内容を順序に沿って整理してはじめて、式を作ることができます。つまり、小4算数では単に計算ができるだけでは足りず、文章から式を作る力が必要になってくるのです。

感覚の算数からロジックの算数へ

こうした変化を一言で表すと、小4算数は感覚の算数からロジックの算数へと移行する時期だと言えます。

低学年の算数では、「なんとなくこうなる」という感覚でも答えにたどり着くことができました。しかし小4以降の算数では、数量の関係を整理しながら、どの計算をすればよいのかを順序立てて考える必要があります。

この変化は、大人から見るとそれほど大きな違いには見えないかもしれません。しかし、小4の子どもにとっては、これまでとは違う考え方を求められるため、戸惑いを感じることが少なくありません。

小4算数で差がつき始めるのは、この思考の変化に慣れているかどうかが大きく関係しているのです。

第3章 小4算数の壁を乗り越えるための対策

ここまで見てきたように、小4算数の壁は、突然難しい計算が登場することが原因ではありません。算数の考え方が、感覚的なものから論理的なものへと変わることが大きな理由です。

インターネット上には、小4算数の対策としてさまざまな勉強法が紹介されています。しかし、その前提として大切なことがあります。それは、保護者が「小4算数の壁」の存在に気づくことです。

大人から見ると、小4算数の問題はそれほど難しく見えないことが多くあります。そのため、「どうしてこんな問題が解けないのだろう」と感じてしまいがちです。しかし、小4の子どもにとっては、算数の考え方が変わる大きな時期です。この変化に気づかないままでは、どんな対策も効果が出にくくなります。

まず大切なのは、子どもの解き方をよく観察することです。答えが合っていても、正しい考え方で解けているとは限りません。偶然答えが合っているだけで、解答のプロセスが抜けていることもよくあります。

また、家庭学習をサポートする場合、単にマル付けをするだけでは十分とは言えません。子どもがどのように考えて答えにたどり着いたのかを確認することが、理解を深めるうえでとても大切です。

そのうえで、小4算数の壁を乗り越えるために意識したいポイントをいくつか紹介します。

親が説明するのではなく、子どもに説明させる

まず大切なのは、子どもがどのように問題を解いているのかを観察することです。算数が苦手になり始める子どもの多くは、計算そのものよりも、問題の意味を正しく理解できていないことがあります。

答えが合っているかどうかだけを見るのではなく、「どう考えて解いたのか」を子どもに説明させるようにすると、つまずきの原因が見えてきます。

例えば、次の問題です。

4年生205人が遠足に行きます。
55人乗りのバスで行くには、何台のバスがいるでしょう。

親子の会話例


「まず何をすればいいかな?」


「205人を55人で分ける」


「そうだね。計算してみよう。」


「205÷55=3あまり40」


「じゃあバスは3台で足りる?」


「…あまりが40ある」


「その40人はどうなる?」


「乗れない」


「じゃあどうする?」


「もう1台いる」


「そうだね。じゃあ何台?」


「4台!」

この問題で育つ力

この問題は単なるわり算ではなく

  • あまりの意味
  • 現実の状況に合わせる判断
  • 計算結果をそのまま使わない思考

を学ぶ問題です。

205÷55=3あまり40
→ だから4台

つまり、

計算 → 現実判断

の力を育てています。

答えよりも考え方を大切にする

算数の問題では、正解することに目が向きがちですが、小4算数ではそれ以上に考え方が重要になります。

例えば、文章題の場合は

  • どの数量が関係しているのか
  • どの順番で計算するのか

といった点を整理することが必要です。

答えが正しいかどうかだけではなく、「なぜその式になるのか」を説明できるようになることが、理解を深める近道になります。

図や式を書いて整理する習慣をつける

小4算数では、問題文を頭の中だけで処理するのは難しくなってきます。そのため、図や式を書いて整理する習慣をつけることがとても効果的です。

文章題でも、簡単な図を書くだけで数量の関係が分かりやすくなることがあります。面倒に感じるかもしれませんが、図や途中式を書くことは、算数の理解を助ける大切な手段です。

家庭学習では「マル付け係」にならない

家庭で子どもの勉強を見ていると、どうしても「マル付け係」になってしまうことがあります。しかし、小4算数ではそれだけでは十分とは言えません。

大切なのは、子どもがどのように考えているのかを聞くことです。
「どうしてこの式になったの?」
「この数字はどこから出てきたの?」

といった問いかけをすることで、子ども自身も考え方を整理することができます。

小4算数は「つまずきやすい時期」だと理解する

最後に大切なのは、小4算数は多くの子どもが戸惑いやすい時期であると理解しておくことです。

小4で算数が難しく感じるのは珍しいことではありません。むしろ、算数の考え方が変わる時期だからこそ、多くの子どもが一度つまずくことがあります。

しかし、この時期に問題の読み方や考え方を身につけることができれば、その後の算数や数学の理解は大きく変わってきます。小4算数の壁は、決して乗り越えられない壁ではありません。子どもの考え方を丁寧に見ていくことで、少しずつ理解を深めていくことができるのです。

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この記事を書いた人

【ときおぼえアカデミー】運営者

明治大学卒業。

大学時代、英語や世界史に夢中になり、授業そっちのけで独学に没頭していました。学ぶことの楽しさを伝えたくて、アルバイトで塾講師も経験。

卒業後は金融業界に進みましたが、やがて教育業界への想いが捨てきれず、大手進学塾へ転職。

開成・国立・早慶附属といった難関校を目指す大手進学塾に、約10年勤務していました。

現在はまったく畑違いの仕事をしていますが、中学受験をしない小学生や高校受験を目指す中学生に役立つ情報を発信します。

名前はペンネームです。

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