売買の問題は、「割合の応用」として必ず出てくる重要テーマです。
しかし、多くの小学生がここでつまずきます。
その理由は、計算が難しいからではありません。
「定価」「売値」「利益」「割引」といった言葉が多く、
見込みの利益と実際の利益が混ざる
定価と売値が別物として登場する
といった、“考えるポイント”が増えるからです。
特に入試問題では、単純な計算ではなく、「どの数字を使うのか」「何をもとにしているのか」を見抜く力が問われます。
つまり、売買は単に割合の計算問題というだけでなく、情報整理の問題でもあるのです。
本記事では、売買の基本となる用語の整理からスタートし、定価と売値の違い、そして実際の入試で出題される典型問題までを、順を追って解説します。
この流れを理解すれば、「何を使えばいいのか分からない」状態から抜け出し、売買の問題を安定して解けるようになります。
まずは、第1章で用語の関係をしっかり整理していきましょう。
第1章 用語の説明
売買の問題では、「原価・定価・売値・利益」といった用語が登場します。
これらの意味と関係を正しく理解することが、すべての土台になります。
特に小学生がつまずくのは、「似ている言葉が多いこと」と「場面によって意味が変わること」です。ここではまず、基本の関係を整理しましょう。
1 基本用語の整理
- 原価(仕入れ値):商品を仕入れたときの値段
- 利益:売ってもうけた金額
- 定価:利益を見込んでつけた値段
- 売値:実際に売れたときの値段
- 割引(値引き):定価から安くすること
基本の関係は次の通りです。
- 定価 = 原価 + 見込みの利益
- 売値 = 定価 − 値引き
- 利益 = 売値 − 原価
【注意】
売買の問題では、「原価」と「仕入れ値」という言葉がよく出てきます。
実際には細かい意味の違いがありますが、小学生の問題ではほぼ同じ意味として扱われます。
どちらも「商品を仕入れたときの値段」と考えて問題ありません。
2 分かりにくいポイント
売買で混乱する最大の原因は、「2つずつある」ことです。
① 売値が2つある
- 見込みの売値 → 定価
- 実際の売値 → 値引き後の売値
② 利益も2つある
- 見込みの利益(定価ベース)
- 実際の利益(売り値ベース)
このあと第2章・第3章でそれぞれ具体的に確認していきます。
第2章 定価と売値の求め方
売買の問題では、まず「定価」と「売値」を正しく区別できるかが重要です。
ここが曖昧だと、どの数を使えばいいのか分からなくなります。
定価は「利益を見込んでつけた価格」、売値は「実際に売れた価格」です。
この違いをしっかり意識しながら問題に取り組みましょう。
1 定価の求め方
定価は、「原価に利益を上乗せ」して求めます。
この公式を使った例題を解いてみましょう。
【例題】
1000円の商品に2割の利益を見込んで定価をつけます。定価はいくらですか。
【式】
1000 × (1 + 0.2)=1200
【答え】
1200円
【 ポイント】
「〜割の利益」= 元の値段に対して増える
→ (1+割合) をかける
2 売値の求め方(値引き)
売値は、定価から値引きして求めます。
お店としては、できれば定価のまま売りたいですが、実際には売れ残ることもあります。その場合、「少し安くしてでも売ろう」と考え、値引きを行います。
つまり、売買の流れは
定価 → 値引き → 売り値
となります。
この流れをイメージできるようになると、「どの数字を使うのか」で迷いにくくなります。
この公式を使った例題を解いてみましょう。
【例題】
定価2000円の商品が売れないため、10%引きで売りました。売値はいくらですか。
【式】
2000 × (1 − 0.1)=1800
【答え】
1800円
【ポイント】
「値引き」= 元の値段から減る
→ (1−割合) をかける
3 混乱ポイントの整理
ここで大事なのは、
- 定価 → 見込みの価格
- 売値 → 実際の価格
という違いです。
このあと出てくる問題では、定価を使うのか、売値を使うのかを見極めることが重要になります。
第3章 試験に出る売買問題の典型例
ここまで学んだ内容は、実際の問題では「組み合わせ」で出題されます。
特に重要なのが、「見込みの利益」と「実際の利益」を区別することです。
この違いを理解できるかどうかが、得点できるかどうかの分かれ目になります。
【例題】
仕入れ値6000円のサッカーボールに25%の利益を見込んで定価をつけました。
しかし、なかなか売れないため、10%引きにして売りました。
利益はいくらですか。
【解き方①】
6000×0.25=1500円
6000 +1500=7500円
又は、6000 × (1 + 0.25) = 7500円
7500 × (1 − 0.1) = 6750円
6750 − 6000 = 750円
750円
【解き方②(まとめて計算する)】
※解き方①の5つのSTEPをまとめると、次のように一気に計算できます。
6000×(1+0.25)×(1−0.1)
=6000×1.25×0.9
=6750(売値)
6750−6000=750円
解き方②は、流れをすべて「倍率」でまとめた形です。
・増える → (1+□)
・減る → (1−□)
この形にできると、計算が一気に速くなります。
【ポイント】
この問題の最大のポイントは、「利益」が2種類あることです。
問題文の「25%の利益を見込んで」の利益は見込みの利益、最後の「利益はいくらですか」で求めるのは実際の利益です。
この2つを区別できるかどうかが、この問題のカギになります。
文章の前半は「定価を決めるための情報」、後半は「実際に売れたあとの結果」を表しています。
大人であれば無意識に区別できますが、小学生にとっては非常に混乱しやすいポイントです。
また、求める利益は、売り値 − 仕入れ値(原価)で求めます。
「定価 − 仕入れ値」で計算しないように注意しましょう。
ここでは、例題と同じ流れの問題に取り組みます。
「仕入れ値 → 定価 → 割引 → 売値 → 利益」という流れを意識しながら、どの段階の数字を求めているのかを確認していきましょう。
特に、定価と売値の違いを混同しやすいので注意が必要です。
1つ1つの計算だけでなく、「どの値をもとにしているのか」を考えながら解くことで、理解がしっかり定着します。
問1
仕入れ値4000円のバッグに20%の利益を見込んで定価をつけました。
しかし、売れなかったため、定価の10%引きで販売しました。
利益はいくらですか。
[式]
4000 × 1.2 × 0.9 = 4320(売値)
4320 − 4000 = 320
[答え]
320円
問2
仕入れ値8000円の時計に30%の利益を見込んで定価をつけました。
しかし、売れなかったため、定価の20%引きで販売しました。
利益はいくらですか。
[式]
8000 × 1.3 × 0.8 = 8320(売値)
8320 − 8000 = 320
[答え]
320円
問3
仕入れ値5000円のスニーカーに40%の利益を見込んで定価をつけました。
しかし、売れなかったため、定価の25%引きで販売しました。
利益はいくらですか。
[式]
5000 × 1.4 × 0.75 = 5250(売値)
5250 − 5000 = 250
[答え]
250円
売買の問題は、割合の中でも特につまずきやすい単元です。
しかし、難しい計算をしているわけではありません。
ポイントは次の3つです。
- 定価・売値・原価・利益の関係を整理する
- 「見込みの利益」と「実際の利益」を区別する
- 定価 → 値引き → 売値 の流れをイメージする
この3つが理解できれば、売買の問題は一気に解きやすくなります。
特に重要なのは、何をもとにして計算しているかを見抜くことです。
同じ「%」でも、原価を基準にするのか、定価を基準にするのかで意味が大きく変わります。
ここを意識できるようになると、ミスが大きく減ります。
この記事では「定価→売値→利益」と順番に求める基本パターンを扱いました。
まずはこの流れを確実に理解し、安定して解けるようにしましょう。

コメント