「道のり=速さ×時間」と覚えているのに、なぜか問題になると手が止まる――。
速さの単元で多くの人がつまずく原因は、公式そのものではなく、“意味を考えずに使っていること”にあります。
たとえば、「時速60km」と言えば、「1時間で60km進む」という意味です。
この意味が理解できていれば、どんな問題でも自然に式が立てられるようになります。
逆に、公式だけに頼ってしまうと、単位が変わったり、少しひねられただけで一気に解けなくなってしまいます。
この記事では、「道のり=速さ×時間」をただの公式としてではなく、“動きのイメージ”として理解することを重視して解説します。
さらに、よくあるミスや混乱ポイントも押さえながら、実際の問題で確実に得点できる力を身につけていきます。
速さの問題が苦手な人も、「なんとなく解いている」状態から一歩抜け出したい人も、ここで一気に理解を固めていきましょう。
第1章 道のり=速さ×時間の本当の意味を理解する
速さの問題で多くの人がつまずく原因は、公式が難しいからではありません。
本当の原因は、意味を理解せずに、公式だけで対処しようとしてしまうことにあります。
この章では、「道のり=速さ×時間」を暗記するのではなく、当たり前の現象として理解することを目指します。
1.文章なら解けるのに、なぜ迷うのか
まず、次の問題を考えてみてください。
1時間で4km歩く人は、3時間でどれだけ歩きますか?
4 × 3 = 12km
このように、自然に解けます。
では、次はどうでしょうか。
時速4kmで3時間進むと、何km進みますか?
この2つは同じ問題ですが、「どの公式を使うんだっけ?」と考えた瞬間に手が止まる人が出てきます。
これは、意味ではなく、公式で解こうとしている状態だからです。
2.速さとは「くり返し」の考え方
速さとは、「どれくらい進むか」を時間ごとに表したものです。
たとえば、
時速60km → 1時間で60km進む
ここからは、ただのくり返しです。
- 60 × 1時間 = 60km
- 60 × 2時間 = 120km
- 60 × 3時間 = 180km
- 60 × 4時間 = 240km
- 60 × 5時間 = 300km
つまり、「1時間で進む距離」を時間の分だけくり返しているだけです。
3.公式はあとからついてくるもの
ここまで理解できれば、【道のり = 速さ × 時間】という公式は、「1あたりの量 × 回数」を言い換えただけだと分かります。
つまり、意味が先、公式はあとです。
4.公式から入ると混乱する理由
逆に、「とりあえず公式に入れる」というやり方から入ると、
- どの公式を使うか迷う
- 単位が変わると止まる
- 少し形が変わると解けない
といった状態になります。
これは、中身を見ずに“型”だけで処理しようとしているからです。
5.これからの速さの問題の考え方
速さの問題はすべて、「1あたりの量 × 回数」で考えられます。
- 速さ → 1あたりの量
- 時間 → 何回分か
この2つを意識することで、公式に頼らずに解けるようになります。
次章では、この考え方を使って、実際の問題の解き方を具体的に整理していきます。
第2章 道のりを求める問題の解き方
第1章で見たように、道のりを求める問題は、
「1あたりの量 × 回数」
というシンプルな考え方で解くことができます。
公式にすると次の通りです。
道のり=速さ×時間
この章では、その考え方を実際の問題で確認しながら、徐々にレベルを上げていく形で理解を深めていきます。
1.まずはそのまま解ける問題
【例題1】
時速60kmで4時間進みました。道のりは何kmですか。
【考え方】
この問題は、そのまま考えればOKです。
時速60kmとは、1時間で60km進むという意味なので、
- 1時間 → 60km
- 2時間 → 120km
- 3時間 →180km
- 4時間 →240km
240kmと理解できるはずです。
【式】
≪道のり=速さ×時間≫の公式にあてはめても、
60 × 4 = 240
☞ 1時間で60km進むのを4回くり返すと考える
【答え】
240km
2.単位がそろっていないとき①
分速や秒速の変換に不安がある方は、先に以下の記事で確認しておきましょう。

時速から分速などへの変換が問題なければ、次の例題に進んでください。
【例題2】
秒速5mの速さで3分間進みました。道のりは何mですか。
【考え方】
ここで注意したいのが、秒速(秒)と分が混ざっているという点です。
単位がそろっていないと、「くり返し」ができません。
単純に5×3と計算すると間違いです。そこで、時間をそろえます。
“秒”で揃える解き方①と“分”で揃える解き方②を紹介します。
【解き方①】
“秒”で揃えます。
3分=180秒
5 × 180 = 900
☞ 1秒で5m進むのを180回くり返すと考える
【解き方②】
“分”で揃えます。
秒速5m=分速300m(60×5)
300×3=900
☞ 1秒で5m進むのを180回くり返すと考える
【答え】
900m
3.単位がそろっていないとき②
【例題3】
時速72kmの速さで30分進みました。道のりは何kmですか。
【考え方】
ここでも、時速(時間)と“分”が混ざっているので、そのままでは計算できません。
単位をそろえて、「くり返し」ができる形にします。
【解き方①】
“時間(時)”でそろえます。
30分=0.5時間
☞ 1時間で72km進むのを0.5回分
72 × 0.5 = 36
【解き方②】
“分”でそろえます。
時速72km → 分速に直すと、
72 ÷ 60 = 1.2km(1分あたり)
☞ 1分で1.2km進むのを30回くり返す
1.2 × 30 = 36
【答え】
36km
4.解き方は1つに決めてから広げる
教える側の保護者や大人は、解き方①と解き方②を、無意識のうちに「解きやすい方」で使い分けています。
どちらも正しい方法なので問題はありません。しかし、算数が苦手なお子様にとっては、「どっちでもいい」という状態が、かえって混乱の原因になります。
同じ問題でも、
・今回は秒でそろえる
・次は分でそろえる
といったように、その場で解き方を変えてしまうと、「今回はどっちで解くの?」「なぜこの方法なのか?」と迷いが生まれてしまいます。
そのため、最初は「時間をそろえる」など、1つのやり方に決めて練習することが大切です。
1つの方法で安定して解けるようになってから、もう一方の解き方も理解させると、「同じ問題でも、いろいろな見方ができる」という本当の理解につながります。
第3章 道のりを求める演習問題
ここまで学んだ「道のり=速さ×時間」と「単位をそろえる」考え方を使って、問題に取り組んでみましょう。
すべての問題で、「1あたりの量 × 回数」を意識することがポイントです。
問1
時速50kmで3時間進みました。道のりは何kmですか。
【式】
50 × 3 = 150
【答え】
150km
問2
時速80kmで2時間進みました。道のりは何kmですか。
【式】
80 × 2 = 160
【答え】
160km
問3
秒速4mで10秒進みました。道のりは何mですか。
【式】
4 × 10 = 40
【答え】
40m
問4
秒速6mで25秒進みました。道のりは何mですか。
【式】
6 × 25 = 150
【答え】
150m
問5
秒速5mで2分間進みました。道のりは何mですか。
【解き方①】
“秒”で揃える
2分=120秒
5 × 120 = 600
【解き方②】
“分”で揃える
秒速5m=分速300m(60×5)
300×2=600
【答え】
600m
問6
秒速8mで3分間進みました。道のりは何mですか。
【解き方①】
“秒”で揃える
3分=180秒
8 × 180 = 1440
【解き方②】
“分”で揃える
秒速8m=480m(60×8)
480×3=1440
答え:1440m
問7
時速60kmで30分進みました。道のりは何kmですか。
【解き方①】
“秒”で揃える
30分=0.5時間
60 × 0.5 = 30
【解き方②】
“分”で揃える
時速60km=分速1km(60÷60)
1×30=30
【答え】
30km
問8
時速72kmで45分進みました。道のりは何kmですか。
【解き方①】
45分=0.75時間(45÷60)
72 × 0.75 = 54
【解き方②】
時速72km=分速1.2km(72÷60)
1.2×45=54
【答え】
54km
問9
分速120mで5分進みました。道のりは何mですか。
【式】
120 × 5 = 600
【答え】
600m
問10
分速90mで8分進みました。道のりは何mですか。
【式】
90 × 8 = 720
【答え】
720m
問11
時速90kmで20分進みました。道のりは何kmですか。
【解き方①】
20分=1/3時間
90 × 1/3 = 30
【解き方②】
時速90km=分速1.5km(90÷60)
1.5×20=30
【答え】
30km
問12
秒速12mで2分30秒進みました。道のりは何mですか。
【解き方①】
2分30秒=150秒
12 × 150 = 1800
【解き方②】
秒速12m=分速720m(12×60)
2分30秒=2.5分
720×2.5=1800
【答え】
1800m
ここまでお疲れさまでした。
すべての問題で共通しているのは、「1あたりの量 × 回数」という考え方です。
単位がそろっているときはそのまま掛け算、そろっていないときは、まずそろえてからくり返す。
この流れが自然にできていれば、道のりの問題はしっかり理解できています。
もし途中で迷った問題があった場合は、「何を1としているのか」「それが何回分なのか」をもう一度意識して解き直してみてください。
速さの問題は、公式を覚えるものではなく、「動きのイメージを持てるかどうか」がすべてです。
この感覚をつかめば、これから出てくる応用問題でも安定して解けるようになります。

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